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下剤を飲まない大腸カメラについて



最近、鎮静剤で眠っている間に胃カメラから強制的に下剤を注入することにより“下剤を飲まなくても大腸カメラ検査が受けられる”としている施設もあります。
詳しくは説明しませんが、効果を確認しながら自分のペースで内服する本来の方法よりも危険な方法であると言えます。非常に稀ですが嘔吐による誤嚥、もしくは腸管破裂での死亡例報告が少なくとも2件あります。死亡に至らずに報告されていない、隠れた偶発症はそれ以上にあると推測されます。下剤の添付文書にもこのように書いてあります。”短時間での投与は避ける(1時間あたり1リットルをめどに投与すること)”
たった数分間で強制的に十二指腸に注入することは添付文書に違反した危険性のある目的外使用といえます。保険請求もできないはずですし、何か起きたときには全く言い訳はできません。
比較的少量の下剤で便がきれいになる患者様も多いのに下剤の効き具合に関係なく一定量を注入されてしまうというもいかがなものでしょうか・・・

なるべく苦痛なく検査を受けていただくように工夫をしていますが、安全性を確保することが最も大切なことだと当院は考えています。

どうしても下剤を内服できない場合はどうするか?
当院ではまだ導入していませんが、経鼻胃管を用いる方法があります。
麻酔をした鼻から柔らかい細いチューブを胃まで挿入し、下剤を少しずつ点滴のように注入します。2時間程度の間、チューブを入れたままとなりますが柔らかい細いチューブのためそれほど苦痛は感じないかと思われます。しかしチューブを挿入したままトイレに行くのが大変かもしれません。今後の患者様のご要望を踏まえて取り入れるかもしれません。

医学的に下剤を内服できない場合について
例・・食道がんの治療前検査で大腸カメラ検査をしたいが食道がんで下剤の通り道が狭くなってしまっている。
例・・咽頭や食道の術後で下剤の内服に時間がかかる。
例・・過去の検査で下剤内服時に嘔吐してしまい誤嚥のリスクがあることが分かっている。
こういったケースについては胃カメラで最低限の量の下剤を注入して下剤を自分で内服しない検査が当院で可能です。

大腸がんは適切な検査で予防が可能です。
抵抗なく検査を受けていただくために、苦痛や不安を可能な限り低減するように工夫を重ねていきたいと考えます。
ただし、前提条件があるのです、“安全第一”です。