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便潜血検査


大腸がんの検診で広く実施されている便潜血反応検査ですが、大腸がんに反応する検査であって、大腸がんの元となる大腸ポリープにはほとんど反応しません。つまり大腸がんの予防効果はありません。
大腸がんは大腸カメラで切除可能な早期がんから腸切除が必要な進行がん、そしてすでに他の臓器へ転移を生じた根治不能なものまで様々です。
便潜血検査を契機に大腸がんが発見されても、その時点ですでにかなり進行した状態と診断されることがありえるわけです。
そして残念ながら感度は100%ではありません。どういうことかというと、大腸がんがあったとしても、便潜血検査で必ず陽性と判定されるわけではないのです。

便潜血検査を毎年受けていたものの、初めての陽性判定時にはすでに進行大腸がんであった例を紹介します。

健診での便潜血検査陽性をきっかけに受診され、当院長が大腸カメラ検査で進行大腸がんを発見・診断し、腸切除術も執刀し、現在まで再発なく元気にすごされている患者様の例です。

 


1例目
毎年、職場健診で便潜血検査を受けていましたが、初めて陽性になったということで大腸カメラ検査を受けていただきました。
するとすでにこのような明らかな進行がんを認めました。すでに大腸カメラで切除できない状態にまで育っていると、転移があろうとなかろうと進行がんと分類されます。この進行がんが1年前に存在していなかったということは考えられません。数年間は便潜血検査をすり抜けていたということです。
幸いなことに精密検査では転移を認めず、お腹を大きく切らずにすむ腹腔鏡での腸管切除をさせていただきました。(正確には私が指導しながら後輩が執刀しました。)この記事を書いている時点で2年半くらい経過しましたが再発なくすごされています。

患者さんの言葉を要約し紹介します。
「職場で自分の体験を紹介してもなかなか大腸カメラ検査を受けてもらえない。私はたまたま先生に検査から手術までしていただいてなんとか今のところ再発なく生きていられるが、定期通院の度に再発していないか心配でとても不安だ。多くの人に検査を受けてもらいたいから是非、先生のホームページに私の“がん”を載せて欲しい」

 


2例目
毎年、住民健診で便潜血検査をしていましたが、初めて陽性になったということで大腸カメラ検査を受けていただきました。するとそれほど大きくはありませんが、すでに大腸カメラでは切除できない大腸がんが発見されました。

この数年間の便潜血検査をすり抜けてしまったのです。この患者様も私が腹腔鏡にて大腸がんの切除術をさせていただきました。手術の結果、リンパ節転移が判明したため、再発予防のために術後に半年間の抗がん剤治療を必要としました。
つい先日、術後5年間を経過し無事に完治となりました。

便潜血検査に意味がないとは言いません。この検査のおかげで命が助かった患者様を数多く見ています。便潜血検査で陽性となったら大腸カメラ検査を必ず受けてください。
しかし大腸がんは予防が可能な疾患です。良性ポリープのうちに切除してしまえばよいのですから。そのためには、別ページにも記載しているのですが、40歳になったら大腸カメラ検査を受けることを強くお勧めします。